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モーツァルトの美しい宗教曲の数々 [モーツァルト:宗教曲]

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 一年に何回かは必ず宗教曲を聴く。

 今年はふとしたことがきっかけとなって、シュッツの宗教曲を聴いた。マウエルスベルガーの指揮した作品集のうちの一曲である。

 シュッツは「十字架上のイエス・キリストの七つの言葉」という作品が有名で、宇野功芳氏の一連の著作でも頻繁に言及されている。

 私もこの作品は嫌いではないが、個人的には同じアルバムに入った他の曲のほうがずっと美しく、気軽に楽しむことができて好きである。

 宗教曲、といっても何のことはない。ボーイ・ソプラノやボーイ・アルト、少年合唱が好きだというだけだ。歌詞も何もわからなくても、ふんふん~♪と鼻歌をつけながら、聴いてみると良い。天国の花畑で天使と戯れるような清々しい気持ちになる。

 そういえば、宇野功芳氏の本(『宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版』)の中には、モーツァルトの宗教曲についても色々書いてあるな、と久しぶりにぺらぺらとページをめくってみる。

 レクイエム以外にも、モーツァルトは若い頃から小さなミサ曲(ミサ・ブレヴィス)集を何曲も書いている。

 その中では、特に、K.317の「戴冠ミサ曲」が名高い。宇野功芳氏はフェルディナンド・グロスマンのCDが推薦盤としてあげられているけれど、これは聴いたことがないや。

 キリエとアニュス・ディに登場するメロディーは、「コシ・ファン・トゥッテ」や「フィガロの結婚」のアリアに登場する恋のメロディーだし、グローリアやクレドでは簡潔な曲調の中にも、複雑な味わいを残す名品である。アニュス・ディの最後、「神よ憐れみたまえ」とキリエ冒頭の旋律に戻るときは、心にしんみりとした敬虔な思いを残す。

 Kitakenも、少ないながら、何点かCDを持っている。

 一番最初に購入したのは、Londonから発売されたクレオバリー指揮ケンブリッジ・キングス・カレッジ少年合唱団。

 ソリストも少年ならば、なおのこと美しいだろうに、大人の女声を使っている。演奏は管弦楽の響きが一番しっかりとしている。テンポはおっとりとしており、全体にまったりとした印象。水準的な演奏。

 コープマンによる古楽器陣の盤もある。これはオーケストラの響きがすかっとしており、合唱も大人とはいえ、清澄な声を聴かせており、1000円という値段で聴けることもあって、気軽に楽しむことができよう。

 ただし、アニュス・ディの最後「ノービス・パーチェム」の盛り上げは、テンポがせかせかして感心せず。ここはクレオバリーのようにテンポを落ち着かせて旋律の美しさを際立たせるほうが良いだろう。

 大人の合唱が歌ったものでは、カール・リステンパルトが指揮したものが一番良い。ソリストはシュティッヒ・ランダルで、可憐である。テンポもけしてせかつかない。むしろおっとりとしている。そのために、コーダのテンポが速くても、むしろそれが効果的となっている。

 うん、リステンパルト、いいですねー。

 ボーイ・ソプラノとアルトを使ったCDの中では、tower recordが復刻してくれたギレス・ベルガー指揮/ウィーン少年合唱団のものが聴かせる。やはり、少年の声が美しい。天使そのものだからだ。

 原盤はBMGだが、その録音に問題があるのか、ちょっと高音が強いペラペラした録音であり、もっとアナログ的な柔らかい音だったならば、さらに感銘を与えてくれただろう。少年たちも奥のほうに引っ込んでいるような録音。

 私が持っているのはこんな感じだが、どれか一枚と問われれば、リステンパルトかなあ・・・。少年を使ったアルバムでもっと良いものをご存知の方はぜひご教示ください。グロスマンは聴いてみたい。

 他の小ミサ曲の中では、K.65の悲劇的で深遠な作品(モーツァルトが13歳の作品!)、K.259 (キリエの堂々たる清々しさ!朝聴けば元気もりもり!)、K.275(「戴冠ミサ」と比べて地味だが、ソロがものをいうキリエやアニュス・ディが印象的だ)が気に入っている。

 CDはマイナーだということもあって、なかなか見つからない。ケーゲルは聴きたいと思わないし、頼みの綱のペーター・ノイマンによる全集は廃盤になって久しい。残念でならないのだが、たった一点、少年を使った選集が発売されている。それが冒頭の写真である。

 ラインハルト・カムラー指揮によるアウグスブルク大聖堂合唱団(どこにあるの?)の演奏だが、これはなかなか良い。録音も良く、管弦楽もだぶつかず、すっきりとしている。

 ソリストも水準以上の出来栄え。K.275のボーイ・ソプラノは高音が美しいとはいえ、声質が可憐でなく残念だが、テノールと絡むあたりや伸びやかに高らかに歌うあたりは天上的である。

 そして、K.259は非常に魅力的な演奏になっている。こちらは二人のボーイも可憐で、まさに天使のよう。K.275でも歌って欲しかった。

 この水準で「戴冠ミサ」や他の諸曲も録音してくれたら・・・と願わざるをえない。一番良いのは、グロスマンやモラルトといったかつてのアナログ時代の名録音が復刻されることだろうか。


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