シャイーのベートーヴェンを聴く [ベートーヴェン:交響曲]
自分のブログのエントリー件数を調べてみると、ベートーヴェンの交響曲がやはりダントツ。
別館の「弦楽四重奏との歩み」はもはや開店休業状態であるが、こちらもベートーヴェンが中心。
我ながら、ベートーヴェンで書くことはいっぱいあるのだなあ、と感心する始末。
もちろん、ベートーヴェンばかり聴いているわけではないのです。
むしろ、ベートーヴェン以外に耳を傾けたいことだってあります。
しかし、何故でしょう。ベートーヴェンの話をしているときが、一番楽しい気もする。
まあ、とりあえず、このエントリーを書かせてください。
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シャイーがベートーヴェンを録音しました。
愛好家に言わせれば、「ついに」という感じなのでしょうか。
彼のキャリアを考えれば、満を持して、と言うべきなのでしょうか。
結論から言って、「異形のベートーヴェン」とか「奇形のベートーヴェン」とか言い出す人がいても
不思議ではない内容ではないか。
ゲヴァントハウスという歴史あるオーケストラを用いて、そこにイタリアンな流麗なフレージングが織り込まれ、
ティンパニや金管を強奏させ、メトロノーム指定を墨守した古楽器スタイルも併せ持つ、
不思議な、不思議な演奏だ。
部分的にはマルケヴィッチ版を採用したとのことで、もちろんベーレンライターにも目を通した上での
ピータース板なのでしょう。
ひょっとしたら、ゲヴァントハウスの楽譜も独特なのかもしれない。今まで聴いたことがない音もある。
しかし、そういった部分的な面白さは感動にはつながらない。
けして、悪い演奏ではないのだけれど、「じゃあ、何がやりたいんですか」と言いたくなる演奏なのだ。
伝統と革新の融合、とか美辞麗句を思いつきもするのだが、
聴いた後に何も残らない。
それに、オーケストラの音も録音のせいか美しく響いてこない。
シャイーはバッハでもラテン系の新鮮な解釈を試みていたが、そこでも「では、バッハとはどのような音楽なのか」という答えに答えきれていない気がしたのです。
演奏を表面的に評価すれば、音の威力、快速テンポ、盛り上げ方などなど、申し分なく、そして新味もあるし、高評価となるのでしょう。
しかし、心に残る感動という点では満足できず、優れているが決定版ではないユニークな演奏、という位置づけで終わるでしょう。
序曲のいくつかは面白かった。
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