SACDに聴くフルトヴェングラー [ウィルヘルム・フルトヴェングラー (cond.)]
フルトヴェングラーの遺した貴重な録音の数々がSACD化され、それも大ヒットとなった今年。
はじめは懐疑的だったSACDによる高音質化の効果も、時間をかけて聴き比べるうちに、
得心するようになった。
もちろん、ライヴ録音やSPなどの音源の古いものは、EMIに良質な素材が残っていないのか、
あまり効果が見られないとの評判である。
私はSACDの購入は、
①公式のセッション録音であること
②ウィーン・フィル(あるいはバイロイト)であること
を優先して決めた。
ベートーヴェンの「エロイカ」などは、既存の板起こし板(DELTA)に比べて、格段にリアリティーがあり、
弦の質感なども往年のアナログ・サウンドといった趣である(ビンテージ・サウンドとは違うが)。
7番なども、日本フルトヴェングラー協会のSP復刻やDELTAで耳にしてきたが、
もはや、ぼやけた音でしかない。
7番が本当に新発見のテープかどうかは微妙なところがあるとしても、コンディションが良く(3楽章の音の荒れがない、など)、音の立体感、張りと艶、ぎっしりとしたハーモニーには魅了される。
オペラも出たが、「フィデリオ」は超優秀録音で、目が覚めるような思いだった。
反対に、「トリスタンとイゾルデ」はやはりヴェールの向こうの秘め事といった音質。耳馴染み良い穏やかな音ではあるが。
今後、アナログ・マスターから次々と往年の名盤が復活するようだが、
私としては過度なノイズ・リダクションを行わない(というか行わないほうが良いかも)、
音質をいじくらず、そのままの音を再現するような姿勢を望みたい。
クレンペラーなど、本当に楽しみです。
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