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モーツァルトの「魔笛」の名盤は?② [モーツァルト:歌劇]

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「魔笛」の名盤は何かについて、以前はよく考えたものです。一時期はノリントンにはまり、今聴くのはベームの新旧くらいでしょうか、昔求めたものの中では。もちろん、ワルターは最愛の盤ですがモノラルだし。先日買ってみたクリスティも今はもう…。

それだけ飽きがきやすいということなのか、どうなんだろうか。結局しかつめらしいベームが一番飽きないということなのか?噛んで含めるというか。

今の私が好きなのは、今年になってやっと初CD化されたコープマン盤。1982年のライヴ録音です。

乾いた残響の少ない音なのですが、鮮明で明朗でビビッド極まりない。舞台や客席ノイズ、拍手も拾った臨場感といい、アンサンブルを細部まで堪能できる、魅力的なレコーディングとなっています。コープマンは、「レクイエム」、「戴冠ミサ」、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」などなど、声楽の入ったモーツァルトが最高だと思っていましたので、この魔笛も発売されたのを知り、HMVのポイントで購入。リマスタリング・エンジニアはあの杉下一家さんでした。

一聴、ベームの新旧、ワルター、ノリントンを忘れるくらいの感銘を受けました。声楽陣はどの役も大きくマイナスになることもなく、チームアンサンブルを繰り広げており、また何と言ってもコープマンの統率力が素晴らしい。

コープマンは初演の様子を蘇らせるという立場の元、学究的で自筆譜や当時の資料に当たるなど、相当な研究成果に基づいたものなのでしょう。

序曲から古楽器スタイルとしてはやや遅めの、早すぎないテンポで、金管や打楽器も強奏はされても意味深く、またグロッケンシュピールも夢幻な音で、まるで魔笛の芝居初上演を目の前で聴く、という趣です。細かい伴奏まで強弱をつけ、聴いたことがない新鮮さ!

三人の童子は少年で、これが素晴らしく霊的な魅力があります。パミーナはややおばさん声なのが残念ですが、パパゲーノ含め大きな不満にはなりません。古楽的歌唱だからでしょうか。

幕が開いても、メリハリがあり、妙なチープさがまた味わいがあります。ザラストロ登場の当たりの打楽器もワクワクします。パパゲーノが打ち鳴らす魔法の鈴の音も、上に書いたようにもとてもファンタジーな魅力。

気になったのはセリフがかなりカットされて録音されていることと、何故か三枚組なこと。二枚組にできたはず。ただし、歌詞対訳があるのはやはり便利でした。

個人的には現時点のベストワンです。オケの素朴さ、歌手のチームワーク、芝居小屋の臨場感、ファンタジーな音世界、これらが成功の秘訣でした。

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