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Kitaken Award 2015(なんと、3年ぶりのAwardです!!) [Kitaken Award 2015]

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  2015年も終わりに近づいている。

 今日はクリスマス。

 認知症で、ガンと闘病中だった父は11月初旬に他界し、数年続いた介護生活も一つの終焉を迎えた。

 相変わらず、世間を騒がせるニュースは目を背けたくなるような現実ばかりを伝えており、この世はますます地獄めいてくる。

 父の菩提を弔いつつ、家の仏壇に迎えたアミターバ(阿弥陀如来)の慈愛に満ちたお顔に、死後の平安だけではなく、この世の平安をも祈ってしまう自分がいる。

 音楽は、どんなときも、私の心の支えだった。

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 では、2015年のKitaken Awardを発表して参りますが、3年前と同じように新譜に限定するのではなく、あくまで私が今年度に求めて感動したものを選ばせていただきたいと思います。

 一位 ベートーヴェン:交響曲全集(ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)

 私からフルトヴェングラーやワルター、クレンペラーと言った歴史上の名盤の数々を忘れさせてくれた思い出のアルバムです。まず、オーケストラがいぶし銀。コクがあって、なんとも言えないノーブルでシルキーな音色が美しく、ハイティンクの指揮は奇を衒わないので、ますます美しいベートーヴェンばかりが迫ってきます。こんなベートーヴェン、聴いたことなかった!

 余談ですが、SACDで出たクリップスのベートーヴェンは、CDで聴いていたときのほうがはるかに感動的でした。エヴェレスト・レーベルの録音ですが、SACD化によってそれほどの音質向上はしていない印象です。もちろん、音の広がりとかスケール、情報量は増しているのですが、感動の量まで増加しているのでしょうか。現在SACD市場で起こっている問題点の一つは、フルトヴェングラーと同じ現象で、「演奏ではなく、音質を聴く」になっているのではないか?と思います。

 これまた余談ですが、クレンペラーのEMIのベートーヴェン、シングルレイヤーなど、音質はひどいもの。こんな音の薄いものが、オークションや熱帯雨林ショップでは高値なのだ!信じられない。

 私はSACDを聴くことも多いですが、CDで感動しない演奏がSACDで感動することはありません。少ないお小遣いでせっせとコレクションを増やす未成年のファンたちには、「本当は、CDで十分なんですよ」、と申し上げたい。ハイティンク、聴いてみませんか?バイエルン放送響との「荘厳ミサ曲」も、ウルトラ級の名演奏だと思います。こちらはノミネートはしませんでしたが、一位の中に含まれているとお考えください。

二位 ジョコンダ・デ・ヴィートの芸術

 TOCE-6391~99という1991年に発売された、CDでは初のセット。その後、1997年にHS2088リマスタされたものも出ましたが、このリマスタは音が好きではないため、避けた。このセットはレアもので、オークションでも高値になることが多いが、ものすごい劣悪なボックスで、CDは何とか傷が少ない、という状態で入手しました。変色、シミ、ホコリなども相当でした。韓国EMIが発売されたものの音質はわからないが、モノラルなのに音が良いものばかりなので、入手できるのなら買ってみたいもの。

 たとえば、バッハの「シャコンヌ」、ヴィターリの「シャコンヌ」、フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」など。私はメンデルスゾーンは好きではないのだけれど、デ・ヴィートで聴いて、そのコンチェルトに感じ入った。どの演奏も宝物のような演奏なのだろうが、ヴァイオリンについては私はまだそれほど知りません。それでも、この野太い、男勝りのヴァイオリンはすごい。野太いのに、芯があって、透明感があるのだ。音色も、カンタービレも、ポルタメントも、スピカートも本当に素晴らしい。

三位 アドルフ・ブッシュの芸術

 TOCE6781~97。これも名盤。幸松肇氏が東芝EMI時代に残した良質の復刻、という記事をどこかで読んだのだけれど、ブランデンブルグ協奏曲以外は、本当に音がしっかりしている。ことにSP時代のベートーヴェンのカルテット、シューベルトの「死と乙女」、「幻想曲ハ長調」、ブラームスの「クラリネット五重奏曲」などは、本当に素晴らしい。針音が残っていて、それでいて苦にならない。演奏は超一流。ベートーヴェンの14番など、これを聴いてしまえば、他はドライに感じてしまうだろう。

 残念なのは、ブランデンブルグ協奏曲で、東芝に残っているマスターが良くなかったのだろう。ちなみに、ワーナーから今年発売されたセットは、全体に音質が大味で採れない。ノイズをカットしすぎているためだ。しかし、困ったことにブランデンブルグはこちらのほうが良い。おそらく、マスターが良いのだろう。まあ、大時代的な演奏なので、そこまで愛聴することはないと思うが、6番は好きだ。

 他には、ティボーの芸術も入手したんですが、そちらはちょっと骨董品に近い音質のものもあるので、今回はノミネートしませんでした・・・。いい演奏が揃っているように思いますが・・・。

四位 グールド・リマスタード USB版

 買ってしまった。ということは、ハイレゾの世界に入っていく?そう、もう後戻りはできないな、という感じである。実は、CDプレーヤーで音を聴くことが、ずいぶん減ってしまった。PCにリッピングして、WAVEファイルを作り、WAVE FILE PLAYERやfoobar2000でもって音楽を再生することが主になってきている。い、いかん・・・。このUSBはぎりぎりハイレゾと呼べるケチな代物で、24bit/44.1khzしかない。それでも、flacからWAVEファイルに変換し、PCで再生していると、「あかん、これはifi micro iDSDあたりを買わんと、あかん」という気持ちになってくる。

五位 STAR WARS EPISODE 7 THE FORCE AWAKENS ORIGINAL SOUNDTRACK

 クラシックじゃないやんけ、というツッコミもあるかと思うのですが、これも話題作りということで。。。スター・ウォーズ、大好きなのです。でも、まだこの記事を書いている今は、観ておりません。ですので、このサントラだけを何度も味わっている次第です。

 熱帯雨林ショップ(どこのことかおわかりですよね?念のため)では、結構批判のレビューも見受けられましたが、私の感想としては、これは噛めば噛むほど味の出るサントラと思います。EPISODE1~3でスター・ウォーズを好きになれたファンの皆様からすると、元気ハツラツでかっこいい曲が少ないし、EPISODE4~6を愛されてきたファンの皆様からすれば、歌詞をつければ歌えるようなメロディーがない!ということになるかもしれません。しかし、23曲目を繰り返しお聴きくだされ。レイのテーマの何と感動的なこと。2015年、激動の年だった私にとって、大きな癒しの瞬間でした。

特別賞 メンゲルベルク復刻、ありがとうタワーレコード!

 あのマタイが、ベートーヴェンのシンフォニーたちが、耳に突き刺さることなく、滑らかに、優しく、そして鮮明に響く!高音がシャリシャリするという意見もあるし、フィリップスのCDにはないノイズもあったりするのですが、私としては音の情報量が多くなり、演奏の姿が迫真的に捉えられるようになって、嬉しい復刻でした。特に、マタイは、来年のカール・リヒターのSHM-SACD化が楽しみです。え?さっき、SACDはいらないって言ったって?いやはや。

 バーンスタインのベルリンでのマーラーも良かったし、これを一位にしてもけしておかしくはない感動でした。ESOTERICの復刻も上々でしたし、SHM-SACDの本家のものは初期不良という大チョンボはあったものの、よりマスターの情報がが増えていて良かったです(終楽章の出だしのバーンスタインの唸り声など)。

 シベリウス・イヤーでしたが、シンフォニー全集としては、オッコ・カムとインキネン、ブロムシュテットを買い求めました。いずれも美しいですが、この3枚の中ではブロムシュテットが好きです。オッコ・カムのはおおらかな演奏で楽しいですし、インキネンは荒々しいスケールもあって動的な感のあるセットですが、インキネンはもっと成長するように思います。

 さあ、来年度の展望ですが、アーノンクールの引退によって、事実上プレートル、ハイティンクなどがどうなっていくのか。アーノンクールはベートーヴェンをもう一回やるべきでしたね。ラトルの後任の指揮者はあまり知らない方なのですが、あのベルリン・フィルなのであまり期待はしていません。

 指揮者も楽器奏者もますます小粒となり、今後私たちをあっと言わせるようなベートーヴェンを聞かせてくれるとすれば、それはクルレンツィスくらいになるでしょう。お願いだから、マーラーなんて「くだらない音楽」はやらないで(すみません、あえて炎上させるような発言です)、このままモーツァルトのドン・ジョヴァンニを完成させたら、ショスタコーヴィチやベートーヴェンをバンバン聞かせてください。あなたは天才の一人だと思います。チャイコフスキーのコンチェルト、楽しみにしています。コパチンスカヤも最高ですしね。

 さて、今回のKitaken Award、かなり過激な発言もあったかもしれませんが、滅多に更新しないのでお許しください。問題意識の共有ということで、現在感じていることを書かせていただきました。あくまで、一個人がチラシの裏に書いているBLOGでございますれば、ご容赦ください。感性の合う方がいらっしゃったら、私たちは心の友達でございます。

 さて、ハンス・ホッターの芸術からシューベルト「冬の旅」、ミュンヒンガーのヴィヴァルディ「四季」(クロツィンガー)を聴きましょう。これらも宝物となりました。ミュンヒンガーはバッハの管弦楽曲組曲も良かったんですが(…終わらないのでここで強制終了)


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