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クルレンツィスの「闘うフィガロ」 [モーツァルト:歌劇]

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発売と同時期に購入し、一聴して愛聴盤となったアイテム。

テオドール・クルレンツィスは、ショスタコーヴィチの交響曲第14番でも、バルシャイの初演時ライヴ、セッション録音などの狂気を現代に蘇らせてくれた鬼才。スコアをひとえぐりもふたえぐりもするコンダクターだと思っています。

そんな彼がダ・ポンテ三部作に挑むというのだから、期待しないはずがない。すでに、「フィガロ」、「コジ」は完成、残るは2015年秋の「ドン・ジョヴァンニ」だ。

演奏の感想は方々で語られており、屋上屋根を付け加えるつもりはない。あまり指摘されないことも含め、個人的な感想を簡潔に。

・オーケストラは古楽スタイルだし、歌手もそのスタイルの歌唱法を身につけているが、禁欲的ではなく、雄弁で表情付けが凄い。スザンナのアリア「さあさあ、お膝をついて」など、演技をしすぎて、曲の持つ美しい旋律が吹き飛んでしまった。

・たしかに出来不出来のナンバーはあろうが、全体を通したらこれほど物語と音楽が一体になり、鮮やかさを通り越して、良い意味でグロテスクな演奏もないだろう。クライバーもベームもメルヘンでしかなく、クレンペラーに至っては純音楽でしかないが(それが良いのだが)、クルレンツィスのはダ・ポンテの闘う音楽。闘う「フィガロ」だ。最終幕フィナーレの「コリアムトゥッティ」を聴けば、如何に民衆の怒りが貴族階級に向けられていたか思い知る。

・美しいのは二幕のフィナーレ全体と、三幕のフィガロの生い立ちがわかり、スザンナが出てくる重唱、四幕、フィナーレ、伯爵の謝罪の場面の陶然たる時が止まるような美しさ。レチタティーボでもどこでも即興かのように活躍する、キラキラ弾むようなフォルテピアノ。これ、チェンバロではないよね??

録音はとても良いし、オペラはCDではちょっと、という方にオススメ!

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